歴史総合パートナーズC。
天然痘、ペスト、結核、インフルエンザなどの感染症の歴史を、人類の誕生から21世紀まで順にたどった本。このシリーズはどれもわかりやすくまとまっていて、問題の概要を摑むにはとてもいい。
新型コロナの感染拡大以降、感染症に関する本が相次いで刊行されているが、この本は2018年に出たもの。何かが起きてからではなく、起きる前の刊行という点が信頼できる。
近い将来、鳥インフルエンザが流行した場合、日本だけで死者は70万人を超えるという予測もあるのです。
日本にもたらされた梅毒は、唐瘡や琉球瘡、九州では特に南蛮瘡と呼ばれました。(・・・)もし、新たな感染症が登場したら、私たちはこうした差別的意識から完全に自由になれるでしょうか。
天然痘の根絶が成功すると、人々は20世紀中に多くの感染症の制圧が可能になると考えるようになりました。しかし、それは正しくありませんでした。
こうした文章は今では予言のように響いてくる。COVID-19に関しても「武漢風邪」「中国ウイルス」といった呼び方をする人々がいる。感染者に対する差別も含めて、まだまだ歴史から学ぶことは多い。
2018年8月21日、清水書院、1000円。