2021年02月10日

宮田登『民俗学』


1990年に放送大学の教材として刊行された本の文庫化。

「民俗学の成立と発達」「日本民俗学の先達たち」「常民と常民性」「ハレとケそしてケガレ」「ムラとイエ」「稲作と畑作」「山民と海民」「女性と子ども」「老人の文化」「交際と贈答」「盆と正月」「カミとヒト」「妖怪と幽霊」「仏教と民俗」「都市の民俗」という内容になっている。

柳田国男は、民俗学をたんなる古俗の詮索から脱却させ、すぐれて現代的課題にとり組むべき使命をもった学問として性格づけたのである。
若い世代の間に誕生日を祝う習俗が定着したけれど、この時の贈答も招待パーティもだんだん派手になってきた。年齢を満で数えるようになった結果、誕生日の実感が強くなったことや、個人意識の発達によるものである。
仏教と死者供養、先祖供養とのつながりは不可分のようにみえる。しかし本来仏教には、先祖供養の考えはなかった。

誕生日のお祝いや先祖供養の行事なども、当り前のことと思わずに一つ一つ丁寧に見ていくと、意外な事実が浮かび上がってくる。

内容的に古くなっている点もあるが、民俗学の基本を理解するのに良い一冊だと思う。

2019年12月10日発行、講談社学術文庫、960円。

posted by 松村正直 at 07:23| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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