2020年12月02日

樹原アンミツ『東京藝大 仏さま研究室』


「樹原アンミツ」は、三原光尋(映画監督)と安倍晶子(ライター)の合作ペンネーム。

東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室、通称「仏さま研究室」を舞台にした青春群像劇。修士2年の学生4名それぞれの視点から、一年間にわたる修了製作(仏像の模刻)の様子が描かれる。

模刻に取り組む中で、各自が人生の悩みや問題点を克服していくという流れになっていて、ストーリーはわかりやすい。軽い読み物といった感じだが、随所に大学の風景や仏像に関する知識が織り交ぜられていて興味を惹かれる。

文化財修理には三つのルールがある。「当初部優先」「現状維持」「可逆性」だ。
彫刻の技術は「モデリング」と「カービング」のふたつに分かれる。粘土や漆など柔らかい素材を積み重ね、盛りあげたり凹ませてかたち(model=型式)をつくるのがモデリング。石や木など固い素材を削る(carve=刻む)のがカービングだ。
御神木は神社のものと思いがちだが、実際は多くのお寺にも「御神木」と呼ばれる、霊験あらたかなシンボルツリーが存在する。

2020年10月30日、集英社文庫、680円。


posted by 松村正直 at 07:44| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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