果てしなき彼方(かなた)に向ひて手旗打つ万葉集をうち
止まぬかも 近藤芳美『早春歌』
応召して戦地に行った作者が、手旗信号の練習をしている場面。イロハニホヘトではなく万葉集の歌を一字一字、両手に持った赤旗と白旗で表していく。
先日カルチャーセンターでこの歌を取り上げたところ、お二人の生徒さんが手旗信号を知っていて、実際にやってみせてくれた。子どもの頃に習ったり、戦争ごっこの際に使ったりしていたのだそうだ。
基本的な姿勢がいくつかあって、その組み合わせでカタカナの文字の形を作っていくとのこと。手旗信号を身体で覚えている人は、この歌を読んだ時にまず身体が動くみたいだ。