遊園をとざす夜ごとのオルゴール降り行く雨に長くきこゆる
『冬の銀河』(1954年)
遊園地の閉園の音楽が毎日家まで聞こえてくるのだろう。
ジェットコースターつねに声湧く夜空冷え年々に来る森の路あり
観覧車森になおめぐるひかりいくつ夏ごとに来て妻と路つたう
回転木馬めぐる初むれば妻とあり木むらのひかり園閉じむとして
踊り終えし一団はフィリピンの男おみな季過ぐる遊園に人の乏しく
『磔刑』(1988年)
遊園地の中を散策している場面である。毎年夏に訪れていたようだ。
さらに、こんな歌もある。
喇叭吹くは回転木馬の天使たち年々に来て吾が小馬車あり
回転木馬めぐる初むれば吾らあり老いの遊びを人あやしまず
回転木馬の共に幼きものの中妻とよろこびというも淡きに
『風のとよみ』(1992年)
1990年の作品なので、当時近藤は77歳。妻と一緒にメリーゴーラウンドに乗っている。馬に跨るのではなく馬車タイプに二人で座ってるんだな。いや、これはすごい歌だ。
「としまえん」の回転木馬と言えば、「カルーセルエルドラド」。1907年にドイツで製作された世界最古級の回転木馬である。
https://trip-s.world/carousel-eldorado
これに近藤夫妻が乗っていたとは!