2020年09月26日

近藤芳美と地下工事

近藤芳美の歌集を読んでいると、地下の工事を詠んだ歌がいくつも出てくる。

地に深くシートパイルを打つひびき夜となる街にひとつ聞ゆる
鉄のやぐら暗くともりて杭を打つ銀座の地下の泥層の中
打ちかけて月に影立つ鉄の矢板かたむきざまに舗装路の上
                『歴史』

これは掘削した穴の側面が崩れないようにシートパイル(鋼矢板)を打ち込んでいる場面だろう。近藤は清水建設に勤める技術者であったが、昭和32年には「地下室構築方法」という特許の発明者となっている。

これは、軟弱地盤の下部に硬質地盤がある場合、まず構造体となる鉄骨柱を地上から地下硬質地盤の中に達するまで圧入または打込み、つぎに上から掘削しながら鉄骨バリを順次かけわたしてゆき、同時に掘削に従つて外側鉄骨柱の外側に山留板を圧入するかまたは土留用の矢板打ちを行い、(以下略)
     「土木学会誌」第42巻第5号の「特許紹介」より

なるほど。どうりで地下の歌が多いわけだ。

posted by 松村正直 at 23:02| Comment(0) | 近藤芳美 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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