マスク外す弁当の時に級友の顔がわかると新高校生
井木範子
常にマスクを着けていて、昼食の時だけ互いの顔を見ることができる。せっかくの高校生活なのに、これでは友達になるのも大変そう。
白粥にくれないの梅透けて見え夕餉はなやぐ歯は病めるとも
宮城公子
歯が痛むので普通の食事はとれないのだ。でも、白粥に梅干しを入れただけで気分は少し明るくなる。上句の描写が良くて美味しそう。
はるひがん石のあひだにしやがみつつ見えない人とともに
草ひく 岡部かずみ
「石」としか言ってないが墓石のこと。墓参りのついでに草取りをしている。墓石が立ち並んでいるので、しゃがむと他の人も見えない。
やることはたくさんあっても「レジの人」と思われている
コンビニ店員 黒川しゆう
コンビニの店員はレジの他にも検品や品出し、掃除、宅配便の受付などやることが多い。でもそれは、実際にやった人にしかわからない。
走り来て転びし幼児そのままに遊び始めぬ地面をつつき
佐々木美由喜
転んで泣くのでも、すぐに立ち上がるのでもなく、転んだまま遊び始める幼児。大人(読者)には予想がつかない動きであるのが新鮮。