2020年08月03日

「塔」2020年7月号(その2)

マスク外す弁当の時に級友の顔がわかると新高校生
                      井木範子

常にマスクを着けていて、昼食の時だけ互いの顔を見ることができる。せっかくの高校生活なのに、これでは友達になるのも大変そう。

白粥にくれないの梅透けて見え夕餉はなやぐ歯は病めるとも
                      宮城公子

歯が痛むので普通の食事はとれないのだ。でも、白粥に梅干しを入れただけで気分は少し明るくなる。上句の描写が良くて美味しそう。

はるひがん石のあひだにしやがみつつ見えない人とともに
草ひく                   岡部かずみ

「石」としか言ってないが墓石のこと。墓参りのついでに草取りをしている。墓石が立ち並んでいるので、しゃがむと他の人も見えない。

やることはたくさんあっても「レジの人」と思われている
コンビニ店員                黒川しゆう

コンビニの店員はレジの他にも検品や品出し、掃除、宅配便の受付などやることが多い。でもそれは、実際にやった人にしかわからない。

走り来て転びし幼児そのままに遊び始めぬ地面をつつき
                      佐々木美由喜

転んで泣くのでも、すぐに立ち上がるのでもなく、転んだまま遊び始める幼児。大人(読者)には予想がつかない動きであるのが新鮮。



posted by 松村正直 at 08:13| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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