2020年07月29日

杉山由美子『与謝野晶子 温泉と歌の旅』


全国各地の温泉を訪ね回った与謝野晶子の旅について、自身の人生と重ね合わせながら論じた本。中年期以降の晶子に焦点を当てているのが特徴だ。

晶子の旅は「旅かせぎ」に「吟行」そして「温泉療養」を兼ねていただけに強行スケジュールで過酷でもあった。旅は何日にもわたった。
寺の息子らしく、お金をお布施のように懇望する鉄幹にくらべ、なんという才覚か。やはり晶子は商家の娘である。
(注:百首屏風の頒布について)
昭和六年五月から六月にかけての北海道旅行で、晶子は石川家の墓に詣でている。若くして薄幸のまま亡くなった啄木を晶子は弟のように可愛がっていた。

随所に引かれている晶子の歌も、印象に残るものが多い。

死ぬ夢と刺したる夢と逢ふ夢とこれことごとく君に関る
                  『夏より秋へ』
筆とりて木枯しの夜も向ひ居き木枯しの夜も今一人書く
                  『白桜集』

全国100か所以上の温泉に入って歌を残している晶子。旅のガイドブックとしても使える一冊である。

2010年6月20日、小学館、1500円。


posted by 松村正直 at 07:29| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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