啄木の編集した雑誌「小天地」を読んでいたところ、細越夏村の小説「痩達磨」にも、この北条町が出てきた。
都大路は、落花の雪に埋もるゝ頃、転地療養にとて、房州は北条の浜辺へ島流し。
東京で肋膜炎を患った主人公が、療養のために房州北条へ行くのである。少し調べてみると、明治・大正期の北条は転地療養の町として知られていたらしい。なるほど、そういうことだったのか。明治42年には療養中の歌人石井貞子のもとを、若山牧水も訪れている。
ちなみに、大正時代に開業した「安房北条駅」は現在の「館山駅」である。
都大路は、落花の雪に埋もるゝ頃、転地療養にとて、房州は北条の浜辺へ島流し。