副題は「近現代の歴史と社会」。
歴史総合パートナーズ6。
台湾の歴史・社会や日本との関わりが、日本統治期、戦後、現代の三つに分けて記されている。良質な入門書と言っていいだろう。
ところで総督府は、そもそもなぜ原住民をこんなに厳しく支配したのでしょうか。(・・・)実は総督府は、台湾の山林地域にある貴重な資源を手に入れようとしていたのです。それは主に、樟脳とヒノキでした。
少し調べてみたところ、タイワンヒノキは明治神宮の鳥居や靖国神社の神門などにも使われているらしい。現在では輸入が難しくなっているとのこと。
1990年代後半以降の日本では、日本語世代と哈日族、さらに私の友人のような知日派もひとくくりにして「親日」ととらえる傾向がありました。あたかも日本統治期から戦後、そして現在に至るまで、台湾人がみんな常に「親日」であったかのような見方です。
本当の友好関係を築くには、まず「親日」「反日」といった単純で一面的な捉え方から距離を置く必要がある。
民主化以前の台湾では、歴史教科書の内容のほとんどが中国大陸と中華民国の歴史でした。つまり、辛亥革命(1911年〜12年)によって大陸で成立した中華民国と、その「大陸から来た我々」の視点で書かれていたのです。
外省人と本省人の対立を経て、「台湾人」としてのアイデンティティが次第に確立されてきたのだろう。今後、東アジアの国同士の関係改善が少しずつでも進んでいくと良いのだが。
2019年1月9日、清水書院、1000円。