西日本各地にある大仏を訪れて写真入りで紹介したガイドブック。『夢みる巨大仏 東日本の大仏たち』の続編。
立像で4.8メートル、坐像で2.4メートル以上の大きさの仏像を求めて、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州を旅する。「大仏めぐりをはじめてから10年目」とのことだが、とにかく大仏愛に溢れた内容となっている。
ありふれた日常の風景を切り裂くように忽然と現れる巨大な仏さま。瞬時にそれが現実のものとは受け入れられず、目と頭との間でいつもより念入りに情報交換が行われ、頭がこれは現実だと受け入れてからやっと体が動き出す感じ。
「奈良の大仏」や日本最古の「飛鳥大仏」など有名な文化財だけでなく、平成20年にできたばかりの紀三井寺の「大千手十一面観世音菩薩」や個人所有のビルの屋上にある「安治川の仏頭」など、82体の大仏が載っている。大仏であれば何でもOKという姿勢が清々しい。
大仏に限らず大きなものが好きなようで、コラムでは東尋坊タワーや香川県観音寺市の「寛永通宝」、福岡県の「旧志免鉱業所竪坑櫓」なども紹介されている。
本業がカメラマンということもあって、掲載されている写真がどれも素敵なものばかり。時間や季節や天気をよく考えて撮影しているのだと思う。
2020年2月24日、書肆侃侃房、1800円。