2020年05月04日

山下裕二『日本美術の底力』


副題は「「縄文×弥生」で解き明かす」。

「動と生、過剰と淡泊、饒舌と寡黙、あるいは飾りの美と余白の美」を、それぞれ「縄文」と「弥生」の2つのキーワードにして、日本美術の歴史を描いた本。縄文土器から村上隆の「五百羅漢図」まで、カラー写真69点も収められている。

特に良かったのは、伊藤若冲「紅葉小禽図」、葛飾北斎「木曽路ノ奥阿弥陀ヶ滝」、宮川香山「褐釉蟹貼付台付鉢」、安本亀八「相撲生人形」、佐藤玄々「天女(まごころ)像」、小村雪岱「青柳」、福田平八郎「漣」、田中一村「不喰芋と蘇鐵」、岸田劉生「麗子坐像」。

日本における水墨画とは、基本的に中国・宋代の絵画スタイルをもとに、鎌倉時代後期以降に描かれた作品を指します。それ以前の作品は、たとえ墨一色で描かれていても水墨画とは呼びません。
若冲作品のなかでも人気の「鳥獣花木図屏風」は、かつて東京国立博物館の奥で埃をかぶっていました。東博に寄託されていたこの作品を発見したのは、当時、同館に勤めていた美術史家の小林忠氏です。

こういった美術史家としての知識にも、教えられるところが多い。

2020年4月10日、NHK出版新書、1200円。

posted by 松村正直 at 10:26| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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