2020年03月27日

NHKスペシャル取材班『樺太地上戦』


副題は「終戦後7日間の悲劇」。
2017年8月14日のNHKスペシャルで放送された内容を書籍化したもの。

1945年8月9日のソ連の参戦に始まり、8月22日の停戦に至るまでに多くの死者を出した樺太の地上戦。生存者の証言や旧ソ連側の資料をもとに、その実態を描き出している。

日本国内での地上戦は沖縄戦(1945年3月26日〜6月23日)が唯一のものだったと信じている人は今も少なくない。樺太地上戦は日本人の記憶から失われたというよりは、認識すらされてこなかった歴史だった。
沖縄戦を当時、国はどう見ていたのか。内閣情報局が毎週発行していた「週報」から窺い知ることができる。1945(昭和20)年7月11日号で、沖縄戦について大本営報道部は、「3か月の貴重な時を稼いだ」とし、「作戦的勝利」と称賛している。
樺太(サハリン)の戦場で犠牲になった5000人とも6000人ともいわれる人々。その多くは民間人であったが、民間人と特定できる遺骨はいまだに1柱も日本に戻っていない。

8月15日の終戦後も「自衛戦闘」を継続するようにとの命令のもとに樺太では交戦が続いた。それはソ連軍の北海道占領を防ぐためだったとの見方もある。捨て石とされた人々の無念はいかばかりか。

2019年10月25日、KADOKAWA、1600円。

posted by 松村正直 at 00:06| Comment(0) | 樺太・千島・アイヌ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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