2020年03月25日

増補版というもの

西村佳哲『増補新版 いま、地方で生きるということ』は2011年刊行の本に2019年のインタビューが増補されている。8年の間に状況が変ったり、当初の思い通りに行かなくなったりした話も載っている。

彼はその後、キャベツ中心の大規模農家になりました。今はそのビジネスの成就に心血を注いでいるようです。当時は一緒に新しい試みを模索していましたが、今ではまったく交わることが無くなってしまいました。(柴田道文)
西村さんのインタビューの後にこの土地から離れていった人も沢山いましたし、私が『のんびり』に必死すぎたせいで、秋田に居ながらにして距離が生じてしまった人も多く、半ば強制的に自分の足で立たなければならなくなった。(矢吹史子)
氷見には2013年以来通えていないけど、子どもが生まれた子もいて、元気にしているという便りをもらっている。自費出版の写真集をみんなに届けに行ったのが最後です。(酒井咲帆)

こういう後日譚にこそ、生々しい現実が滲んでいるように感じる。それを読めるのが、この増補版の一番の良さかもしれない。

posted by 松村正直 at 21:13| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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