2011年8月にミシマ社より刊行された本に増補加筆して文庫化したもの。東日本大震災後の2011年5月に東北と九州を訪れ、11人にインタビューしながら考えた内容に、8年後のインタビューが追加されている。
ふだん自然学校などを運営している方々が震災後の被災地に入って経験を生かしたボランティア活動をされていたことを、この本で初めて知った。「自然学校」と「震災」は全く関係ないように見えるのだが、ライフラインのない場所でどう生きるかという意味でとても近いものがあったのだ。
商売にせよ遊びにせよ、何事においても基本やっぱり“一人でできる”ということですよね。「自立」というか個々のパワーアップがないと、最終的に単なる村社会のようになってしまう。(柴田道文)
山菜やきのこの採り方だったり、いろんなことを知っていて。「なにもなくても生きていけるぜ」っていう、生きる力っていうのかな。それをすごく持っている人がたくさんいて。(柏ア未来)
欧米では公(public)・共(Common)・私(Private)の三つは別々の概念として捉えられている。(・・・)ところが日本では「公共」という言葉で、このうちの二つが一緒くたになっている。(徳吉英一郎)
中央/地方と分けてとらえること自体に違和感がある。僕の中でそれらの領域の境目が薄れてきている感じがあるんです。(田北雅裕)
フィジカルをケアしておけばいいと言ったのは、物事に反応する自分自身が変わっていくから。たとえば健康になると気分がいいから、またジョギングやろうかなって気になったり。(豊嶋秀樹)
生きる上でのいろいろなヒントが詰まった本。
でも、最後は誰だって自分で考えて決めなくてはならない。
2019年12月10日、ちくま文庫、860円。