2020年03月13日

武漢作戦

日中戦争は1937(昭和12)年7月に始まり、12月には中国の首都南京が陥落する。蒋介石率いる国民政府は、長江を遡るように南京から中流の武漢を経て上流の重慶へと移り臨時首都とした。

これを追うように日本軍は1938年(昭和13年)6月から「武漢作戦」と呼ばれる攻略戦を行い、10月に武漢を占領する。斎藤茂吉『寒雲』には戦勝の喜びを詠んだ歌が多数収められている。

あやまれる蒋介石の面前に武漢おちて平和建立第一歩
武漢三鎮なだるるなして落ちしかば我が心今日も呆(ほ)けたるごとし

「武漢三鎮」とは漢口、武昌、漢陽の三つの町のことで、現在はいずれも武漢市となっている。

漢口は燃えつつありといふ声のそのかたはらに人声(ひとごゑ)きこゆ
漢口にすでに雪ふるありさまが映画となりてわれに見しむる

いずれもニュース映画を見ての作品だろう。茂吉が「平和建立第一歩」と詠んだ武漢占領であったが、その後も中国が降伏することはなく、戦争は泥沼化していくのであった。

posted by 松村正直 at 11:02| Comment(0) | 戦争遺跡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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