副題は「いつも京都の日陰で」。
滋賀県甲賀市出身である著者が、知名度や評判の高くない滋賀について、自虐も交えつつ楽しく記したエッセイ。「忍び」は「忍者」と「耐え忍ぶ」の両方を掛けているのだろう。
「応接間だからといってソファセットを部屋の中央に置かず、思い切って壁沿いにL型に置いてみましょう。それだけでぐーんと広く感じられて、のびのびしますよ」
(・・・)こうしたアドバイスは、滋賀県民には身に沁みる。
国内旅行のパッケージツアーには《京都・琵琶湖の旅》とか《京都・奈良・琵琶湖》というのが、よくある。《京都・滋賀の旅》でも《京都・奈良・滋賀》でもなく、《京都・琵琶湖の旅》や《京都・奈良・琵琶湖》・・・。地面はないのか、滋賀には・・・。
とにかく著者の語り口が面白い。生年や血液型が同じみうらじゅん(京都出身)に対する秘かなライバル意識を述べる部分なども印象的。最後の方には滋賀を始めとした地方都市の今後に対するマジメな提言も記されている。
2019年12月3日、小学館新書、840円。