正善は東京帝国大学文学部の宗教学科に入学し、そこで日本の宗教学の開拓者である姉崎正治に学んだ。卒業論文は天理教の伝道活動をテーマとしたものだったが、そこにはキリシタンの研究を行っていた姉崎の影響があった。
姉崎正治(嘲風)については、これまで啄木との関わりについてしか知らなかった。『石川啄木全集』には姉崎宛の手紙が4篇収められている。
明治37年12月14日、啄木が詩集出版のために上京した際の手紙は、「師よ。窓の外に聞ゆるは、雪の声ならずや」に始まり、十数回も「師よ」という呼びかけが使われている。
Wikipediaによれば、姉崎はこの年東京帝国大学教授となり、翌年には宗教学講座を開設、現在も東京大学宗教学研究室には姉崎の写真が飾られているとのこと。
時々こんなふうに別のアプローチ(宗教と啄木)から同じ人やモノに行き着くことがある。そうした「交点」を僕は大切にしている。そこには、きっと何かあるから。