2020年01月07日

中山大将著『国境は誰のためにある?』


「歴史総合パートナーズ」I。
副題は「境界地域サハリン・樺太」。

国境というものが、いつ、どのようにして生まれ、人々の暮らしにどのような影響を与えてきたのか。国境変動の現場となったサハリン・樺太を例に、丁寧にわかりやすく論じている。

日本国民は最初から均質だったのではなく、明治維新以来均質化の努力が図られてきた結果徐々に均質化が進んだと言えます。
皮肉なことに、先住民族は中欧日の地図製作者や探検家たちに様々な形で協力し、知る限りの地理情報も提供しましたが、結果として、それは自分たちの暮らしている土地が国民国家によって奪われるための準備に自ら加わっていたことになったのです。
北方領土返還は日本、あるいは東アジアにおいて最も可能性の高い境界変動のひとつです。しかし、そのことについて日本国民はどれだけ具体的な想像力を持っているのでしょうか。

国境は自明なものでも不動のものでもない。国境について考えることで、社会や世界を見る視野が広がってくる気がする。

2019年12月9日、清水書院、1000円。


posted by 松村正直 at 17:18| Comment(0) | 樺太・千島・アイヌ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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