2014年に河出書房新社から出た単行本の文庫化。
初出はKAWADE WEB MAGAZINE(2012年9月〜2013年10月)。
タイトル通り、いい感じの石ころを拾いに全国あちこちの海岸へ出掛けたり、石に詳しい人に話を聞きに行ったりする紀行エッセイ。
新潟県のヒスイ海岸、青海海岸、静岡県の仁科海岸、菖蒲沢、福岡県の藍島、夏井ヶ浜、茨城県の大洗海岸、青森県の綱不知海岸、青岩、北海道の江ノ島海岸、大安在浜、島根県の日御碕神社、越目浜と、ひたすら石ころを拾う。
石と言っても貴重な鉱物や宝石ではない。あくまで「石ころ」。そんなもの(?)に、なぜ夢中になるのか。
石の世界は何でもありなのだ。
自分自身が、その石の見た目を気に入っているならそれでいい世界なのだ。
あらゆる価値観の押し付けから、完全に解放される自由な遊び。それが石拾いだ。
このあたり、何となく「短歌」と似ていなくもない。
毎回の旅には「編集の武田氏」が同行するのだが、それが後にライターとなり『紋切型社会』で有名になった武田砂鉄氏であるのも面白い。本書に解説を書いている。
2019年10月25日、中公文庫、780円。