2019年11月29日

宮田珠己著 『いい感じの石ころを拾いに』


2014年に河出書房新社から出た単行本の文庫化。
初出はKAWADE WEB MAGAZINE(2012年9月〜2013年10月)。

タイトル通り、いい感じの石ころを拾いに全国あちこちの海岸へ出掛けたり、石に詳しい人に話を聞きに行ったりする紀行エッセイ。

新潟県のヒスイ海岸、青海海岸、静岡県の仁科海岸、菖蒲沢、福岡県の藍島、夏井ヶ浜、茨城県の大洗海岸、青森県の綱不知海岸、青岩、北海道の江ノ島海岸、大安在浜、島根県の日御碕神社、越目浜と、ひたすら石ころを拾う。

石と言っても貴重な鉱物や宝石ではない。あくまで「石ころ」。そんなもの(?)に、なぜ夢中になるのか。

石の世界は何でもありなのだ。
自分自身が、その石の見た目を気に入っているならそれでいい世界なのだ。
あらゆる価値観の押し付けから、完全に解放される自由な遊び。それが石拾いだ。

このあたり、何となく「短歌」と似ていなくもない。

毎回の旅には「編集の武田氏」が同行するのだが、それが後にライターとなり『紋切型社会』で有名になった武田砂鉄氏であるのも面白い。本書に解説を書いている。

2019年10月25日、中公文庫、780円。


posted by 松村正直 at 19:50| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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