2019年11月25日

『ルイズ―父に貰いし名は』より

松下竜一著『ルイズ―父に貰いし名は』から、戦争に関する話をいくつか引く。

一方が護国の鑑と賞揚されている、天皇陛下の最も忠節なる兵士爆弾三勇士であるのなら、そのもう一方の極に対置され嗤われているのが、無政府主義者大杉栄・伊藤野枝であることは、名指しされなくても察しがつく。

1936年、留意子の在籍する糸島高等女学校に爆弾三勇士の一人江下武次の妹が入学した時のエピソード。「とびきりの名誉」と「とびきりの不名誉」が揃ったとの噂が立ったのであった。

この結婚は傷痍軍人との婚姻奨励、早婚の奨励という国策に、期せずして合致している。戦傷者の増えるに従って、傷痍軍人の婚姻と就職は社会問題になってきていたし、一方で女子の早婚も政府によって呼びかけられていた。

1939年、留意子は17歳で元軍人の王丸和吉と結婚している。

あとでわかったが、それは錫箔が落とされた音だった。地上からのレーダーを撹乱するためにB29が落とした錫箔が、寮の庭の楠の木のあちこちにひっかかり、炎の明かりにキラキラと映えるのを、留意子は美しいものを見るように仰いだ。

1945年の空襲の一場面。初めて知ったのだが、これはチャフ(電波欺瞞紙)と呼ばれるもので、第二次世界大戦中に日本軍も使用していたらしい。

posted by 松村正直 at 19:06| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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