2019年11月23日

「六花」VOL.4

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テーマは「詩歌と出会う」。A5判88ページ。

歌人や俳人など28名が文章を寄せている。皆さん自由に、気楽に、好き好きに書いているのがいい。

上村典子「無垢の白の箱と青鉛筆」には、石橋秀野の有名な句「蟬時雨子は担送車に追ひつけず」についての娘の言葉が引かれている。

著者安見子によれば(『石橋秀野の一〇〇句を読む〜俳句と生涯』飯塚書店)、「担送車の上で手にした句帖に、青鉛筆で走り書き」されたという。

実際に担送車の上で書いたとの証言に慄然とする。鬼気迫る光景だ。

小田部雅子「少年農民大関松三郎」は、かつて小学校の国語の教科書に載っていた「山芋」「虫けら」の少年詩人の話。懐かしい。

松三郎は、貧しい農家の三男ゆえ農は継げず、高等科卒業後は鉄道学校に進み、昭和十九年、海軍通信隊として乗っていた輸送船が攻撃を受け、南シナ海で戦死した。十八歳だった。

ああ、そうだったのかと思う。何となく少年のままのイメージがあるのは十八歳で亡くなっていたからだったのか。

戦後、松三郎の詩をまとめて出版したのは、担任だった寒川道夫。Wikipediaの寒川の項目には「詩集『山芋』の〈作者〉の大関松三郎を指導した」とある。〈作者〉と〈 〉付きになっているところに、微妙な問題が潜んでいる。

佐川俊彦「藤原さんの「黄昏詞華館」」には、ワセダミステリクラブ時代の藤原龍一郎の思い出が記されている。

もう一人、ワセミスには謎の先輩、氷神さんもいて、ドラキュラのマントと牙の入れ歯のコスプレ姿で、モンシェリにやって来たりしていました。氷神さんと藤原さんと僕だと、マンガの話をしていたように記憶しています。

「氷神さん」(氷神琴支郎)=仙波龍英の学生時代の姿である。

2019年12月5日、700円。

posted by 松村正直 at 23:44| Comment(0) | 短歌誌・同人誌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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