正倉院の「鳥毛立女屏風」には、近年「とりげりつじょのびょうぶ」「とりげりゅうじょのびょうぶ」というルビが付いていることが多い。私が中学生の頃に習った時は「とりげだちおんなびょうぶ」だった。
これは、単なる読み方の違いではないのだろう。言葉の区切り方が変ったのである。かつては「鳥毛立/女」と区切っていたのが「鳥毛/立女」と区切られるように変化したということだ。
「鳥毛」は女性の衣などにヤマドリの羽毛が貼られていたことに由来する名前だが、「とりげだち」という読みは「毛羽立つ」という言葉のように、その鳥毛が立っているイメージだったのだと思う。それに対して現在の「りつじょ・りゅうじょ」という読みは、女の人が立っているという意味になる。
おそらく様々な研究成果が反映されて「りつじょ・りゅうじょ」が正しいとなったのだろう。でも、「とりげだちおんな」という読み方に対する個人的な愛着は消えそうにない。
2019年10月16日
この記事へのコメント
コメントを書く