2019年09月28日

山納洋著 『歩いて読みとく地域デザイン』


副題は「普通のまちの見方・活かし方」。

2014年から関西圏で「Walkin’ About」というまち歩きの企画を行っている著者が、まち歩きのノウハウについて記した本。

町を歩いていて気になった建物や風景、地形などを手掛かりに、その町の成り立ちや歴史、現在やこれからを読み解いていく。そうした力を著者は「まちのリテラシー」と呼ぶ。

こうしたリテラシーを得れば、まちあるきは作り手の手口を読みとく探偵のような知的な営みに変わります。

その実践例として「残された旧家」「カーブした道」「駅前だった場所」「必然的にそこにあるお店」「ターミナル駅の風格」「住宅地化した農地」「水害が変えた風景」など全部で60以上の方法が写真付きで挙げられている。

大阪府大東市野崎では写真12のようなミニ開発地区を見かけました。同じ形をした3階建ての住宅が20軒近く建ち並んでいます。これはいわゆる「一反開発」と呼ばれるもので、もともとは一反の田んぼだった土地を住宅に変えています。一反=994uなので、ぎりぎり開発許可がいらないのです。

さらに本書は、まちの読み解きの力をまちづくりに生かしていくことも目指している。読み解く力を高めることでより良いまちが作れるという考えは、どこか短歌の話にも通じるものがあるように思った。

2019年6月10日、学芸出版社、2000円。

posted by 松村正直 at 23:38| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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