2019年08月10日

母と包丁

母が台所で西瓜を切っていたら、突然、包丁が折れた。
柄の部分と刃が外れてしまったのだ。
もう何十年も使ったらしい包丁で、柄の部分も相当傷んでボロボロだ。

母はしばらく補修しようとしていたがうまくいかない。
縄で結んだり縛ったりしていたが、素人に直せるものではない。
そのうち、指先を切ってしまい、絆創膏を貼った。

僕が見かねて「もう古いから捨てた方がいいよ」と声を掛けると、
「かわいそうにねえ」と言う。
何度も包丁の刃を撫でながら、「かわいそうに」「かわいそうに」と
つぶやいている。

「仕方がないよ。どんな物でもいつかは壊れるんだから」と言うと、
「ずーっと大事に使ってきた包丁なんだよ」と言う。
よく見ると、刃に銘が刻まれた包丁で、量販店の安物とは違うらしい。

「でも、もう母さんも昔と違ってそんなに料理なんかしないんだから、
そこらへんで買った包丁で十分だよ」

僕は確かそう言ったと思う。
(どうしてこういう時に相手の気持ちに寄り添うことができないんだろう)

posted by 松村正直 at 23:31| Comment(2) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私も大きな息子のいる母として、ちゃんと話を聞いてそして見てくれてるので嬉しいです。
寄り添ってますぜ。
しかし、あっつー。どこも同じですね。
ご自愛下さい。
Posted by 豚肉を揚げる音 at 2019年08月11日 15:18
暑い日が続きますね。
できるだけこまめに、母のところに行くようにしようと思います。
Posted by 松村正直 at 2019年08月12日 08:36
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