かなりお薦めの一冊。
「米って何だ?」「イネという植物」「田んぼというシステム」「米で読み解く日本の歴史」「米と日本人」の全5章。「米は、イネという植物の種子である」という一番初歩のところからかなり専門的なことまで、丁寧に教えてくれる内容となっている。
著者の専攻は雑草生態学だが、本書では生物学、歴史学、社会学など文系・理系の区分を超えて自在に横断し、幅広い観点から米やイネのことを論じている。こういうのが本当の学問というものなのだろう。
もち米は、人間の祖先がその突然変異を発見し、大切に劣勢遺伝子の組み合わせを守り継いできた奇跡の産物なのだ。
私たちが食べる米も色素を失ったアルビノであったと考えられている。
種子の落ちない非脱粒性の突然変異の発見。これこそが、人類の農業の始まりである。
誰も話すことのないラテン語は変化することがない。ラテン語で学名をつけるというのは、後世の人たちのことを考えているのだ。
水は上から下へしか流れない。この上から下へと流れるという仕組みだけを利用して、すべての田んぼに水が行くように水路が設計されているのである。
田んぼに水を張る一番の理由は、雑草対策なのだ。
ご飯に納豆、お餅にきなこ、煎餅に醬油、日本酒に冷や奴・・・。私たちが昔から親しんできたこうした料理は、すべて米と大豆の組み合わせなのである。
毎日のように食べている米について、自分がいかに知らないかを思い知らされた。「なるほど!」「えっ、そうだったの!」といった調子で、読み終わった時には本が付箋だらけの状態になった。
第5章「米と日本人」のところだけ、やや日本礼賛に傾いてしまったのが残念。でも、素晴らしい一冊だと思う。
2019年4月10日、ちくまプリマ―新書、820円。
ラオスでは黒いもち米も小さい籠に入れてたべます。ちょっと硬くなったおこわみたいな感じです。その他タイ米はパラパラしていて手で摘んで食べます。
確かに
ジャポニカ日本のお米はもちもちしています。
牛の反芻から草食動物の進化の話までおもしろかったです。
お米も国によっていろいろですね。
それによって調理方法なども違うのでしょう。