2019年07月20日

永田淳著 『河野裕子』


コレクション日本歌人選75。

河野裕子の全15歌集から計50首を選んで鑑賞した本。このシリーズの特徴として、見開きに歌と鑑賞文、脚注が載っていてとても読みやすい。巻末には「歌人略伝」「略年譜」全作品一覧」「解説」「読書案内」を収めている。

鑑賞文は細かな点まで行き届いており、あらためて知ることが多かった。

(土鳩はどどつぽどどつぽ茨咲く野はねむたくてどどつぽどどつぽ)
二回出てくる「どどつぽどどつぽ」は、『現代短歌朗読集成』で河野が実際に朗読しているのを聞くと「どどっぽどどっぽ」と促音で発音している。

(君江さんわたしはあなたであるからにこの世に残るよあなたを消さぬよう)
実の母に向かって「母」といった人称代名詞ではなく、「君江さん」と実名で呼び掛けているところがこの歌の大きな特徴である。

「歌う対象である動植物へと自らが入り込んでいく感覚、同化していくような歌い方」「身体が本能的に摑み取った言葉、それこそが河野短歌の魅力である」「後期の河野裕子の歌い方の大きな特徴として一首の最初に心情を一気呵成に述べる」など、河野作品の特徴や魅力にも触れている。

解説「河野裕子―詩型への揺るぎない信頼」とあわせて、全体で河野裕子論とも言える一冊だ。

2019年5月25日、笠間書院、1300円。

posted by 松村正直 at 07:46| Comment(2) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも楽しみに読んでいます。
この本が出版されたことすら知らなかったので、早速注文しようと思います。
今日の朝日新聞の〈短歌時評〉も蝉の声、鳥の囀りを聞きながら読みました。心に深く染みる内容でした。
短歌の解説などもわかりやすく、ありがたかったです。
Posted by 藤田咲 at 2019年07月21日 05:40
河野裕子さんの歌を知るにはもってこいの内容ですので、ぜひお読みください。
「短歌時評」のご感想もありがとうございます。毎月最終日曜日の一週前に掲載です。
Posted by 松村正直 at 2019年07月21日 07:05
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