登山家の服部文祥が好きで、新刊が出るたびに読んでいる。
・『狩猟サバイバル』
http://matsutanka.seesaa.net/article/387138731.html
・『サバイバル登山家』
http://matsutanka.seesaa.net/article/387138924.html
http://matsutanka.seesaa.net/article/387138925.html
・『百年前の山を旅する』
http://matsutanka.seesaa.net/article/387139332.html
・『ツンドラ・サバイバル』
http://matsutanka.seesaa.net/article/433185162.html
・『サバイバル登山入門』
http://matsutanka.seesaa.net/article/465418615.html
本書は服部文祥の妻でイラストレーターの服部小雪が書いた(絵も描いている)一冊。風変わりな登山家の夫と三人の子どもたち、そして鶏や犬や猫もいる暮らしを生き生きと描いている。
中古の家を自分たちで直したり、自宅で鹿の解体をしたり、ヌートリアを唐揚げにして食べたりと、現代ではあまり見られないような生活。もちろん、そこには様々な苦労や悩みもあるのだが、家族や友人と協力して乗り越えていく。
錆びた柵にペンキを塗ったり、襖や障子を張り替えるのも初めての経験だ。職人さんのような完璧な仕事はできなくても、丁寧に仕事をすれば生活の質が上がる。何より自分がやれば不満が残らない。お金を払って誰かに任せて、この経験を捨ててしまうのはもったいない。
DIYやロハスといった概念に近いのだが、そうした流行りやオシャレとは無関係に、自分たちのやりたいことを一つ一つ実践している。そうした姿勢に強く憧れる。
まだ結婚する前の27歳の時から現在までの約二十年間のエピソードが収められ、作者と家族の成長物語としても読める一冊である。
2019年5月30日、河出書房新社、1500円。