47篇の詩、6首の短歌、散文「智恵子の半生」「九十九里浜の初夏」「智恵子の切抜絵」を収めた一冊。
「人に(いやなんです)」「鯰」「あどけない話」「レモン哀歌」は、国語の教科書で習った記憶がある。
私達の最後が餓死であらうといふ予言は、
しとしとと雪の上に降る霙まじりの夜の雨の言つた事です。
(「夜の二人」)
光太郎智恵子はたぐひなき夢をきづきてむかし此所(ここ)に住みにき
彼女も私も同じ様な造形美術家なので、時間の使用について中々むつかしいやりくりが必要であった。互にその仕事に熱中すれば一日中二人とも食事も出来ず、掃除も出来ず、用事も足せず、一切の生活が停頓してしまう。 (「智恵子の半生」)
2人の芸術家が愛し合い同じ家に暮らすことの幸と不幸が、ひりひりと痛ましく、そして美しく伝わってくる。
1956年7月15日発行、2003年11月20日116刷改版、
2018年3月15日128刷、新潮文庫、430円。