2019年05月16日

牛丼屋

 みずからに餌を与える心地して牛丼屋の幅に牛丼を食ぶ
                 吉川宏志『石蓮花』

吉野家・松屋・すき家など牛丼のチェーン店で牛丼を食べているところ。ゆっくりと味わうのではなく、忙しい時にパパッと食べてさっと店を出る。まるで自分が牛舎の牛になって餌を食べているような気分になったのだろう。

カルチャーセンターでこの歌を紹介したところ受講生の反応が今ひとつだったので、念のため「牛丼屋には行ったことありますか?」と尋ねてみると、ほとんどの方が行ったことがない。これには驚いた。漠然と日本人の9割くらいは行っていると思っていたのだが、そんなことはないらしい。

確かに、カウンター席が中心の牛丼屋で牛丼を食べているのは、男性のサラリーマンや学生が多い。若い女性や家族連れも見かけるが、私より上の世代の女性はあまり見かけない。受講生にはその層が多いので、牛丼屋に入ったことがない人も多いのだ。

自分では当り前だと思っていても実は当り前でないことが世の中にはたくさんある。人と話をしているとそんな気付きがあるので楽しい。

posted by 松村正直 at 09:16| Comment(4) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
そこに居る皆さんの反応が今ひとつ、というので思い出しました。塔の歌人の名前を入れた歌を地元の歌会に出したとき、誰もそのひとのこと知らなくて、あまつさえ「これは息子さんのことでしょうか?」というコメントまででたことがありました... それはそれでおもしろかったです
Posted by ぴり at 2019年05月21日 15:47
人名については、特にそういうことが多いですよね。スポーツ選手なども、興味のない人からすれば「誰それ?」ということになります。
Posted by 松村正直 at 2019年05月25日 16:42
聴講生の反応を読み、質問をなさってお互いの感覚の違いを楽しまれるのが面白いと思いました。文字だけで他者の短歌を読むとき、自分の知らない言葉の用法や生活の状況があるかも知れないと思って読む人と、全く考えずに読む人、また、「近頃の若い人はそうなのね」と、一律に決めつける人などがありますね。短歌の読み方に様々あることも、楽しみたいと思います。
Posted by しのぶ at 2019年05月25日 19:38
しのぶさん、コメントありがとうございます。
歌会では同じ歌について様々な読み方や意見が出ますね。その幅広さを楽しみながら、良い読みとは何かを考えていきたいと思います。
Posted by 松村正直 at 2019年05月27日 10:15
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