2019年04月08日

いとうせいこう・みうらじゅん著 『見仏記7』


2015年にKADOKAWAより刊行された単行本『見仏記メディアミックス篇』を改題して文庫化したもの。人気シリーズの7冊目。

副題に「仏像ロケ隊がゆく」とある通り、関西テレビで放映された「新TV見仏記」の収録の旅の様子も収めている。訪れた先は、滋賀(長浜)・兵庫(姫路)・広島(尾道)・奈良・京都。

軽妙な二人のやり取りは健在だが、今回はそれだけではない。

昔は何も感じていなかったが、私たちもこのコロリ≠ェ気になる年齢になってきていた。自分が老いた時に誰かに介護の苦労をかけたくないというのが、実にリアルな問題だった。
私は切れ目を探すため、老眼の目からパックを遠ざけた。その私の手元をみうらさんもまた顔を遠ざけて見ていた。
横で、かつての少年は膝をこすり出していた。痛むと聞いていた。一番それが昔と違った。人間は老いる。私にもその痛みはわかった。

1992年から始まった見仏記も四半世紀を超え、旅する二人も50歳代半ばとなった。そうした年齢的な意識が一つのテーマになっている。

2018年3月25日、角川文庫、640円。

posted by 松村正直 at 08:47| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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