2019年02月20日
松本健一著 『石川啄木望郷伝説』
「近代日本詩人選」の一冊として1982年に筑摩書房より刊行された『石川啄木』を中心に、その他の啄木関連の文章を増補してまとめた一冊。著者の「伝説シリーズ」の第3巻となっている。
「故郷喪失」や「敗北の自己認識」「大衆性」をキーワードに、ロマン主義から自然主義そして晩年の社会主義への接近といった啄木の作風の変化を読み解いている。
著者とは生前に一度、「短歌往来」2012年1月号で対談させていただいたことがある。笑顔は柔和だったが言葉にも表情にも一本芯が通っていて、怖いくらいの鋭さを感じる方であった。
2007年6月、勁草書房、2300円。
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