2019年02月18日

宇田智子著 『市場のことば、本の声』


大手書店を退職して2011年に那覇で古本屋を開業した著者のエッセイ集。著者の本はこれまでに2冊紹介したことがある。

『那覇の市場で古本屋―ひょっこり始めた〈ウララ〉の日々』
http://matsutanka.seesaa.net/article/387139340.html
『本屋になりたい―この島の本を売る』
http://matsutanka.seesaa.net/article/421633314.html

初出は「BOOK5」「フリースタイル」「本」などの雑誌。古本屋店主として働きながら様々な執筆活動も行っているようだ。

私の店には時計はなくても、カレンダーはある。(・・・)そして必ず旧暦が併記されたカレンダーを使っている。旧正月や旧盆だけでなく、毎月の拝みや季節の祭りなど、沖縄では旧暦にしたがってなずべき行事がとても多いらしい。
美容室ではなぜ言葉が通じないのか、ずっと悩んできた。こうしてくださいと伝えて、そのとおりになったためしがない。
もしも入力に手だけでなく足のペダルも必要だったら、文章はどう変わるだろう。ピアニストのような全身のうねり、自転車をこぐときの軽やかさなどが表せるだろうか。いま書きながら足を動かしてみたけれど、よくわからなかった。

沖縄のことや市場のことや本をめぐる話など、読んでいて楽しい。と同時に、小さな店から眺める風景の中に、現代社会の様々な問題が浮かび上がってくる。

2018年6月10日、晶文社、1600円。

posted by 松村正直 at 07:39| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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