2019年01月13日

倉阪鬼一郎著 『怖い短歌』


「怖い短歌」136首(収録数は570首)を集めたアンソロジー。

「怖ろしい風景」「猟奇歌とその系譜」「向こうから来るもの」「死の影」「内なる反逆者」「負の情念」「変容する世界」「奇想の恐怖」「日常に潜むもの」の9章に分類している。

 人形は目あきてあれど病める子はたゆげに眠る白き病室
                       与謝野晶子
 誰か一人
 殺してみたいと思ふ時
 君一人かい…………
 …………と友達が来る         夢野久作
 白髪を梳きながらふと振り向けば小面をつけてゐるかも知れぬ
                       稲葉京子
 閉所恐怖で死んだ人なしとおもふとき閉所恐怖のくるしみは増す
                       小池 光
 ひら仮名は凄まじきかなはははははははははははは母死んだ
                       仙波龍英
 ひややけき彫刻台にかけのぼりまなこまで石化してゐたる犬
                       杉原一司
 こんな人ゐたつけと思ふクラス写真その人にしんと見られつつ閉づ
                       川野里子

「怖い」というのは主観的な捉え方なので、誰が見ても怖い歌もあれば、このアンソロジーに入っていなかったら怖いと思わなかった歌もある。そのあたりの幅の広さも読んでいて楽しい。

2018年11月30日、幻冬新書、780円。


posted by 松村正直 at 07:37| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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