副題は「年間120万人を魅了する百年企業の光芒」。
1902(明治35)年創業の老舗で年間観客動員数で世界一、二を争う木下サーカスの四代(祖父・父・兄・弟)にわたる歴史を描いたノンフィクション。ちょうど今、大阪で公演を行っているところだ。
ビジネス書としての一面もあり、「一場所(公演地の選定)、二根(営業の根気)、三ネタ(演目)」を掲げて努力を続ける同族企業の秘訣がいろいろと明らかにされている。
創業者一族が経営を担うファミリービジネスは、時代遅れのようにとらえられがちだが、日本の法人企業約二五〇万社の九七%は同族会社である。
候補都市が決まったら、光三はタクシーでその街の一番高いところに上る。軍師が地形を読むように起伏や水系、道路や駅の配置を見て公演場所を見極めた。
私はサーカスが好きで、毎年のように公演を見に行っている。
木下大サーカス(2009.12.29)
キグレサーカス(2010.10.21)
1990年に現在の四代目が社長を継いだ時、サーカスは既に斜陽産業で負債が10億円にものぼっていた。そこから復活を果たし今も公演を続ける木下サーカス。これからも長く応援していきたいと思う。
2019年1月3日、東洋経済新報社、2000円。