取り上げられているのは、豊臣秀吉、リンコルン(リンカーン)、シーザー、小林一茶、聖徳太子といった定番の人から、ムッソリニ、乃木勝典、楠木正行など時代を感じさせる人、さらには、グルントウィーク、細井平洲、野津道貫、瓜生岩子など「どなたでしたっけ?」という人まで、実に様々である。
何しろ90年前の冊子なので、書かれている内容には時代的な制約があり、読んでいてツッコミを入れたくなる箇所がたくさんある。
コロンブス
イタリーの人、コロンブスは、地球が円いものだといふ事を、一番先にしようこだてた偉い人であります。それはアメリカを発見したためであります。この人がアメリカのある島に船で流れ着いた時、島の土人共が、コロンブスたちを殺さうとしました。しかし、コロンブスは少しも騒がずに、
「そんなことをすれば、神様にお願ひしてお前たちに罰を当てさしてやる。」
と、いつてお祈りをとなへました。すると、見る見るお日様が真暗になりました。土人共は非常に驚きおそれて、コロンブスを神様だと思つてあやまりました。その日は恰度日蝕でありましたので、それで早速土人共をだましたのでありました。
「土人共をだましたのでありました」って!
おいおい、偉人伝がそれでいいのかよ(笑)
でも、私たちが今普通に読んでいる本も、90年経てば同じようにツッコまれるのかもしれない。そう考えると複雑な気分になる。
先日神田松之丞さんが自分のラジオ番組のなかで、とある番組のえらいひとから「松之丞さんの声って、辟易しますよね」といわれてねと話してたのを思い出しました その偉い人はおそらく意味を間違えてつかったんだろうけど、言葉って実に効くなあと思ったのでした。
TBSの「問わず語りの松之丞』おもしろいですよん。
きっと、短歌の言葉選びも同じことなのでしょう。