2015年9月に文藝春秋から刊行された単行本の文庫化。
円紫さんシリーズ、覆面作家シリーズ、ベッキーさんシリーズなどを書いてきた作者の新たな「日常の謎」シリーズ。
文芸編集者の娘と国語教師の父が主人公ということもあって、本に関する話が多い。幸田露伴と斎藤茂吉の対談も出てくる。短歌は出てこないが、俳句の話は出てくる。
――《は》と《に》。わずかに一字の違いだ。しかし、おかげで解釈が揺らがなくなる。一句の意味が、堅固な城となる。
全体にやや軽めの内容で、次作が出たとしても読むかどうかは微妙。
2018年9月10日、文春文庫、650円。