2018年10月10日

きょうだいの歌

最近、20歳〜30歳代の作者の歌集にきょうだいの歌が目に付く。

 無職歴ベテランの兄新米のわたしと家の猫を取り合う
 片づけたところに兄が置いていく手塚治虫を二十六冊
 「天国に行くよ」と兄が猫に言う 無職は本当に黙ってて
           山川藍『いらっしゃい』
 二十数年ともに暮らしし弟の恋を知らざり知らざれど兄
 妙な語呂合わせのせいで弟の結婚記念日忘れられない
 沈黙をチャイルドシートに座らせてわが弟は戻り来たりぬ
           辻聡之『あしたの孵化』
 おとうとのあとに検索開いたら「水を恐れる 前世」の履歴
 おとうとの恋を知らない このばかはスイカの白いとこまで食べて
 おとうとは電話に出られるようになりそれはちいさな存在証明
           西村曜『コンビニに生まれかわってしまっても』

それぞれ、けっこうな存在感を持って歌集のなかに登場してくる。
この距離感の近さはどういうことなんだろう。気になる。

posted by 松村正直 at 18:46| Comment(0) | メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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