啄木の歌を読んでいると、あくびの歌がけっこう出てくる。
百年(ももとせ)の長き眠りの覚めしごと
呿呻(あくび)してまし
思ふことなしに
路傍(みちばた)に犬ながながと呿呻(あくび)しぬ
われも真似しぬ
うらやましさに
いらだてる心よ汝はかなしかり
いざいざ
すこし呿呻(あくび)などせむ
腹の底より欠伸(あくび)もよほし
ながながと欠伸してみぬ、
今年の元日。
あくびと言うと、「眠気」「退屈」「行儀悪い」といったマイナスのイメージを思い浮かべることが多いが、最近の研究では「脳を活性化させる」「心身をリラックスさせる」といった効用があるらしい。
啄木の歌のあくびも、明らかにプラスのイメージである。「してみたいもの」「したら良いこと」として、あくびが描かれている。
『駅へ』を出してから、もう17年になります。