父と母が離婚したのは私が高校2年の8月のことだった。私はずっと父のことを嫌っていたので、両親の離婚を喜んだ。一年上の兄はずいぶん悩んだそうだが、当時の私はごくごく単純だったのだろう。
それを機に、私はそれまでの父の姓「宇佐美」から、母の姓「松村」に名前を変えた。兄と二人で八王子の家庭裁判所へ行ったのだが、私ははしゃいでいて兄は無口だった。裁判所で氏名変更の申請書を書き、申請の理由として「両親の離婚」に丸を付けたのを覚えている。手続きはあっけないくらい簡単だった。
あれから31年。
今年、息子が高校2年の夏を迎えた。私が父と過ごした時間というのは本当に短いものだったんだなとあらためて感じている。
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