2018年08月17日

山本玲子著 『啄木うた散歩』

2006年に岩手日報の夕刊に連載された「啄木うた散歩」を、月ごとに小冊子にまとめたもの。釧路の港文館(旧釧路新聞社)のグッズコーナーで見つけ、全12冊のうち「睦月」「皐月」「長月」の3冊を購入した。

歌の解釈がやや道徳的なところが気になったが、いくつか面白い発見もあった。

 三味線の弦(いと)のきれしを
 火事のごと騒ぐ子ありき
 大雪の夜に           『一握の砂』

この歌について、著者は「三味線の一の糸が切れると縁起が良いといわれる。釧路の料亭での出来事の一つに、啄木は心弾ませたことであろう」と書いている。

これだけでは、どのように縁起が良いのかはっきりしないのだが、ネットで調べてみると「二の糸が切れたら身請けがつく」といった俗信があるらしい。料亭で三味線を弾いている芸者にとって、身請けの話は何より嬉しいことだったろう。だからこそ、ただの俗信とはいえ「火事のごと騒ぐ」となったわけだ。

2010年2月20日(睦月)、2010年3月1日(皐月、長月)
各300円、盛岡出版コミュニティー。

posted by 松村正直 at 21:31| Comment(0) | 石川啄木 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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