引き続き「塔」2001年12月号の座談会から。
この年の4月に僕は大分から京都に引っ越してきたばかり。5月からは永田家で行われる「塔」の再校・割付作業にも参加するようになり、11月に第一歌集『駅へ』を刊行している。当時31歳。
今読み直すと赤面するような発言が非常に多い。
例えば、河野美砂子さんの歌について。
松村 (何と言ったらいいか)難しいんですけど、僕はそんなにグッと来ないかな(笑)。河野さんは、かなり独自の歌を作られるんで、その世界に入れないと響いてこないのかな。誰にでも響いてくる歌というよりは、訴える人を選ぶ歌という感じがします。
・・・いやいや、お前が読めてないだけだよ!
あるいは江戸雪さんの歌について。
松村 江戸さんはすでに歌人として名前のある方なんで、今更取り上げるまでもないのですが、最近また特に新鮮で力のある歌を作っていて印象的でした。
・・・何を上から目線で偉そうなこと言ってるの!
こんな生意気だった僕を皆さん寛容に受け入れて下さったのだなぁと、今さらながら感謝する次第である。