先日、「塔」会員の郡山紀男さんが亡くなったとの報せを聞いて、「塔」の古い座談会を読み直していた。2001年12月号掲載の年間回顧座談会である。
この座談会で、私は「今年注目した五人の歌人」の一人に郡山さんの名前を挙げている。
郡山紀男さんはずっと農作業の歌を作られている方で、こういう歌の良さというのも塔の一つの大事な側面だと思います。「田植機の植ゑ残したる田の四隅補植する手に泥水温し」。自分の生活や身近なところから地道に丁寧に歌を作っている方が塔にはたくさんいらっしゃって、そういう歌の良さは見落とせない。
郡山さんは鹿児島にお住まいということもあって、ほとんどお会いしたことはなかったけれど、誌面でいつも歌を楽しみに読んでいた。
ご冥福をお祈りします。