2018年04月23日

与謝野晶子歌集 『みだれ髪』



訳注:今野寿美。
表紙は「文豪ストレイドッグス」のキャラクターの与謝野晶子。

全399首にすべて現代語訳が付いているほか、『みだれ髪』には収められなかった明治32年8月〜34年8月の作品を「みだれ髪拾遺」として載せている。

絵日傘をかなたの岸の草になげわたる小川よ春の水ぬるき
夕ぐれを花にかくるる小狐のにこ毛にひびく北嵯峨の鐘
四条橋(ばし)おしろいあつき舞姫のぬかささやかに撲(う)つ夕あられ

『みだれ髪』は近代短歌の中でもかなり読みにくい歌集のように感じる。それは晶子独特の言い回しの多さによるものだろう。

特に「の」の使い方。

「のろはしの我れ」「あわただしの旅」「うつくしの友」「なつかしの湯の香」「うつくしの夢」「うれしの夢」など、形容詞の終止形+「の」や、「はづしますなのひくき枕」「とれなの筆」「許したまへの袖」「なでよの櫛」など、動詞の命令形+「の」が頻出する。

2017年6月25日、角川文庫、400円。


posted by 松村正直 at 09:16| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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