先日あるカルチャー講座で、「長い時間を含んだ歌」の良さについて話をしたところ、生徒さんから「短歌は一瞬を詠むのが良いのではないのか」という質問があった。
確かに、佐太郎にも
短歌は純粋な形に於いては、現実を空間的には「断片」として限定し、時間的には「瞬間」として限定する形式である。
という言葉があるくらいだ。それと「長い時間」は矛盾しているように思える。一体どのように両立できるのだろう。
しばらく考えて、そうか、「長い時間を含んだ歌」と「長い時間を述べた歌」は全然違うのだと気が付いた。一瞬のことを詠みつつ、そこに長い時間が含まれている歌というのがあるのだ。
こんなふうに、自分ではっきりと整理できていなかったことが、生徒さんとのやり取りの中で整理されていくことがある。それがカルチャー講座を担当する一番の楽しみなのかもしれない。