2018年04月12日

山川藍歌集 『いらっしゃい』



2010年から2017年までの作品463首を収めた第1歌集。

疲れてる事で繋がるわたしたち休憩室でカレー食べつつ
新品の祖母のバッグはしまわれて二階の奥で高級なまま
退職の一日前に胸元のペンをとられるさようならペン
店員として立つ時にふいに会う友はパラレルワールドの友
百円で菜っ葉を買って差し出せばキリンというより舌がもぎ取る
記入してくださいと言い待つ間(かん)のただ生きているだけの十秒
チロルチョコよりも小さく畳まれた千円札をよみがえらせる
風邪治るまでとこらえてなおるころはるかに遠くなる映画館

「家に帰る」という連作が良かった。

「ハイライトニュースだけ見て消す五輪あー息しとるだけでえらいわ」という歌には「えらい:名古屋弁」という注が付いているのだが、「背表紙がやさしく抱きとめてくれる書架に凭れてほこりまるけだ」の「まるけ」には注がない。こちらの方が方言度が高いと思うのだけれど。

2018年3月27日、角川文化振興財団、2300円。

posted by 松村正直 at 18:58| Comment(0) | 歌集・歌書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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