副題は「書店を歩く」。
「街の本屋が廃れつつあり、逆境にある書店を応援できないか」と考える著者が、全国を訪ね歩いて書店の現状と今後について記した本。
近年、出版や書店を取り巻く状況が厳しくなっているという話は聞いていたが、正直これほどとは思っていなかった。
アルメディアの調査では二〇一七年五月一日現在、全国の書店数は一万二五二六店だった。一九九九年に二万二二九六店あった書店が一七年間で四三パーセント以上も減少していた。単純計算で毎年五〇〇〜六〇〇店ずつ書店がなくなっていたことになる。
ピーク時の一九九六年、トータルで二兆六五六四億円の推定販売額を誇っていた書籍・雑誌の市場は、二〇一六年には三分の二以下の一兆四七〇九億円に縮小した。
書店の減少や出版不況に関して様々な要因が言われている。ネット書店、新古書店、図書館などの影響が取り沙汰されることも多い。しかしこうした数字を見る限り、問題はそうした表面的なことではなく、もっと深刻なのだろう。
この本で取り上げられている書店は、丸山書房(東京)、郎月堂書店(甲府)、長崎書店(熊本)、英進堂(新潟)、いわた書店(北海道)、隆祥館書店(大阪)、七五書店(名古屋)、ブックスキューブリック(福岡)、桑畑書店(釜石)、ヤマニ書房(いわき)など、いわゆる「街の本屋」が多い。
私は最寄り型書店と呼べるような、地域の人々にとってより身近な、現にある需要を満たすために奮闘する街の本屋に心惹かれる。近隣の住民の読書環境を保証する、いわば生活基盤(インフラ)的な存在だと思うからだ。
私の住む町でも、昨年、駅前の商店街にあった本屋が店を閉じた。京都駅八条口のアバンティブックセンターも、先日行ったら売り場が縮小していた。三月書房も今年から定休日を増やし営業時間を短くしている。
書店は今後どうなっていくのだろう。
2018年1月20日、潮出版社、1600円。