寺井龍哉さんの書く文章のタイトルには、いつも工夫がある。
2014年に第32回現代短歌評論賞を「うたと震災と私」で受賞した時に、平松愛理のヒット曲「部屋とYシャツと私」に似ているなと思ったのが、そもそもの始まり。これは偶然ではなかったようで、その後も、例えば昨年の「塔」11月号に載った栗木京子歌集『南の窓から』の書評のタイトルは「夢みる情緒じゃいられない」。これは相川七瀬の「夢見る少女じゃいられない」をもじったものだろう。
「現代短歌新聞」3月号の書評「明るさに包まれたなら」は荒井由実の「やさしさに包まれたなら」、「現代短歌」3月号の「この山を見よ」はニーチェの『この人を見よ』、同じく4月号の「雪の歌を聴け」は村上春樹の『風の歌を聴け』と、すべて何かのタイトルを踏まえたものとなっている。
文章の内容とは別に、次はどんなのタイトルで来るんだろうと気になって仕方がない。
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松村さんはご覧になってなかったかもですが。NHKの大河ドラマ「直虎」のタイトルもこんなだったんですよ。
私は途中からタイトルに惹かれてみるようになりました。
「信長、浜松来るってよ」とか「嫌われ政次の一生」等々。全回それでした。
歌壇4月号の「風のおとうと」の書評(浦河奈々さん)よかった。
当たり前ですが、私も何度も読んでるのでうなずきながら書評よみました。
「直虎」は見ていなかったのですが、調べてみるとまさにその通りでした。
「井伊を共に去りぬ」とか「この玄関の片隅で」とか。
今、こういうのが流行っているのかな。