副題は「ヒト・夢・カネが集まる5つの法則」。
全国各地の元気な町の事例を挙げて地域活性化のヒントを述べた本。取り上げられているのは、小値賀島(長崎)、大山農協(大分)、馬路村農協(高知)、モクモク手づくりファーム(三重)、常陸太田市(茨城)、豊岡市(兵庫)など。
「普通のもの」を観光資源として再発見するには、「外の視点」に切り替えて地元を見つめ直すということが不可欠である。
いま思えば、「田舎がかっこ悪い」という時代は、1980年代に終わっていた。しかし、当の田舎のほうでは、21世紀に入ってもなかなか意識が変わらなかったのではないか。
イベントの有料化というのが重要である。地方ではボランティアになってしまうことが少なくないからだ。また行政関係が主催するイベントでは補助事業ですべてが無料でまかなわれ、その後に継続しないという例がいくつもある。
こうした指摘はこれまでもよく言われてきたことだが、やはり大事だと思う。
また、著者は流通用に改良されたF1品種の野菜が幅を利かせている現状にも警鐘を鳴らす。
大根とにんじんとしいたけの煮物といっても、昔その地域にあった伝統の素材とはまったく別物。これに添加物入りの醤油や、白砂糖や、みりん風調味料が使われると、料理は都心のチェーン店と変わらないものとなってしまうのである。
問題の根深さが非常によくわかる話だ。
NHK出版 生活人新書、700円。
2009年8月10日第1刷、2015年1月20日第14刷。