『午後の庭』にはペニスの歌が3首ある。
クリックをするたびダビデは拡大され左右の睾丸の大きさが違ふ
ペニスなべて削りとられしまま並ぶ古きパティオのローマの戦士
蝸牛に肺があるなんて知つてたか舌だつてあるしペニスだつてある
んだ
あまり言われていないことだと思うが、永田さんはこれまでもペニスの歌を数多く詠んでいる。
隆々とファロスを立つる男らを描き連ねて古代チグリスの壺
プリアポス永遠に若けれ天秤もて己がファロスを量れるところ
『華氏』
待たされて長くもあらぬをいらいらと今日のペニスの位置定まらぬ
『荒神』
満開の桜に圧され少しずつ少しずつペニスが膨らんでくる
ぼんやりとねむくなるときおのずから魔羅膨らむと言えばわらいぬ
旅に目覚めて夕風のなか立ち上がるときよるべなき男のペニス
『風位』
「永田和宏のペニスの歌」あるいは「ペニスの歌の系譜」といった論をいつか書いてみたい。